おすすめYA紹介② 「快盗ビショップの娘」

こんにちは。YA好きのちえ子です。
いきなりですが、少女漫画は好きですか?
私は大好きです!
今日は、読む少女漫画的YAをご紹介します。

 

快盗ビショップの娘
アリー・カーター 作
橋本 恵 訳

出版者:理論社
国:アメリ
刊行:2010/4/22
ページ数:397p
定価:1,500円+税
原題:HEIST SOCIETY

 

あらすじ
泥棒家業が嫌で逃げ出したものの、マフィアから濡れ衣を着せられたパパを救うため一族に戻ってきた高校生のカット。パパを救うためには警備の厳重なギャラリーから絵画を盗み出すしかない!

 

おすすめポイント
少女向けティーン小説の名手、アリー・カーターの一冊です。カーター先生の本は女の子たちが魅力的で、自称“普通”の子が全然普通じゃないところに厨二心をくすぐられます。“フツーの高校生”になったつもりだったのに、校長のポルシェを噴水にぶっ刺した罪を着せられ退学になり「私だったらもっと上手くやる」と考えるような女の子が主人公なんてワクワクします。
「快盗ビショップの娘」は何が少女漫画的かといいますと、主人公カットと金持ち坊ちゃんヘールの関係なんですね。友達でも恋人でもない、絶妙な距離のふたりは読んでいてドキドキします。ヘールのちょっと芝居がかったリアクションは金持ちの余裕を感じさせて、これはカットもキュンとするよ〜!と思っちゃいます。そんなヘールもカットが危険な状況に陥ると途端に慌てちゃうんだから可愛い!それにヘールは元々泥棒一族なのではなく、偶然出会ったカットを追って泥棒社会に足を踏み入れてしまったんです。一族じゃないのに好きな子を追いかけて危ない世界に入ってきてしまった男の子、なんて最高じゃないですか~

映画化希望!ですが、ワーナーブラザーズが映画化権を取得したも結局映画化されていないようで残念。
ヘールの他にも美人で美脚のいとこにコンピュータの天才、国際指名手配中のイケメンパパ、イタリアのマフィア等々妄想の膨らむ登場人物たちがたくさん出てきます。

 



2010年初版ということで、当時はAKB48が流行していた頃でしょうか。赤チェックのカバーがかわいいです。しかし、表紙の写真は誰でしょう……?タイトル的に主人公カットをイメージしているのでしょうが、カットは16歳なのでいささか幼すぎる気がします。表紙をデザインした人はこの本を読んだのでしょうか。逆に原作の表紙は大人びすぎな気もしますが…。(海外のレビューにも表紙の女の子が20代に見えるが⁉というコメントがあってなんだか安心 笑)

 

以下、カットとヘールのかわいい会話を一部ご紹介↓

 

「それで……」ヘールは、笑みを浮かべ、ゆっくりとカットにたずねた。
「ぼくに会いたかった?」
腕のいい泥棒は、ウソをつくのもうまい。泥棒にとってウソは、技術であり、道具であり、技でもある。
カットが「べつに」と答えると、ヘールの顔に笑みがさらに広がった。
カットは、ウソをつくのが下手な自分が泥棒稼業から手を引いたのは正解だったかも、と思った。
「カット、ぼくは、きみに会えてすごくうれしいよ!」

 

有名な泥棒一族なのに嘘が下手なカットがかわいい。まあ間違いなく相手がヘールだから、でしょうね……。

 

「ぼくの写真は、よく撮れてるな」と、ヘールが首をかたむけた。「見栄えのいいほうのアングルで撮れてる」
「そんなアングル、あったっけ?」
「知ってるだろ」

 

なんなんでしょうこの自信は!イケメンにしか許されないセリフですね。

 

「カット、おれも仲間に入れてくれよ」
ヘールが、カットをさらにきつく抱きしめた。
「仲間はずれは、ぜったいイヤだ」

 

自信家かと思ったら急な子犬感。これにはグラっときちゃいますよね……。

 

海外YAならではの夢とロマンが詰まった話はまさにティーン向け小説。サクッと読めるので、ぜひ読んでみてくださいね。

 

余談
学生時代、受験勉強が辛い時期は勉強したら本を読み、また勉強して……を繰り返してなんとか頑張っていたのを覚えています。中学生の時、そんな感情を俳句にしたらおーいお茶の佳作に選ばれたのでそういう人は少なくないのかも(笑)
また別の記事で書きたいと思いますが、YAを読むのって英語の勉強とか海外文化への理解とかそんな難しい理由じゃなくていいと思います。(むしろそんな高尚な理由付けをしているように見られたらラッキーですが)私なんか海外YA読んでたって英語苦手ですし……。おもしろいから好き、くらいの軽い気持ちで楽しみたいです。少しでも海外YAに興味を持ってくれたら嬉しいです(*^^*)

ちなみにHEIST SOCIETY、原作はシリーズになっていて何巻も出ていますが日本語版はこの一冊だけ……。そろそろ続き出してくれてもいいんじゃないですかね?ということで、続きが読みたかったらkindleで原作を買って自分で訳さなくてはいけません。やはり海外YAを読むには英語力が必要なのか……(トホホ)